違法薬物として有名な大麻ですが、現在、世界的に医療用大麻の使用が認められつつあります。それに伴い、日本でも大麻の扱いが見直され始めているのです。とはいえ、この医療用大麻とは一体なんなのか?違法薬物としての大麻と医療用大麻の違いはどういったところなのか?などが気になりますよね。

この記事ではそうした医療用大麻に関する疑問に、詳しく解説していきます。最後まで読んで、大麻に関する知識を深めてください。

大麻の利用法について

一般的に大麻の利用法は、娯楽用、医療用、産業用の3つに分類できます。娯楽用は、自分の快楽や楽しみのために大麻を使用するもの。医療用は、痛みを抑えたり、睡眠導入などの効果を期待して使用するもの。産業用は、布や服、縄、食品などの目的で使うものです。

大麻と一言でいうと、やはり娯楽用として使われる、いわゆる危険薬物としての印象が強いですが、使う目的によって、栽培方法や成分は全く異なります。

世界で認められている医療用大麻

医療用大麻や産業用大麻に関しては、経済的、もしくは人道的な見地から合法化されていく傾向が強くあります。欧米をはじめ、医療用大麻を使うことを許可している国は少なくありません。アジアでもタイや韓国などが医療用大麻の使用を許可しています。

国連麻薬委員会も、医療や研究目的の大麻を、国際条約で決められている最も危険な薬物分類から外す勧告を承認しました。コカインやモルヒネなどと同じく、依存性が高い薬物という扱いには変わりません。しかし最も危険な薬物から外されることで、医療用大麻の合法化をさらに後押しすることになるでしょう。

日本での医療用大麻の扱い

日本では「大麻取締法」があり、大麻を使うには厳しい制限があります。嗜好目的の大麻も医療目的の大麻も違法です。しかし産業用大麻であれば、THCという成分が少なく、成熟した大麻草の茎、もしくは種子から作られたもののみ、販売と使用が許されています。

一方で、医療用大麻の持つ様々な効果や、アメリカなどでの実績から医療用大麻の合法化を求める声は大きくなりつつあります。しかし、日本の研究者や製薬会社が医療用大麻を研究し、製薬したいと思っても、国内では大麻の研究や栽培には都道府県知事の許可が必要です。そして、その許可はなかなかもらえません。

だからこそ、日本で医療用大麻の研究が進めるのはかなり困難な状況にあるのが現状といえます。ただし、前述したように、2020年12月国連麻薬委員会の大麻の統制の基準が見直されました。それに伴い、日本でも医療用大麻が合法になる可能性も高まりつつあると言えます。

医療用大麻の成分について

世界各国で使われている医療用大麻の成分はどういったものなのでしょうか。大きく2つに分けられます。それが、合成カンナビノイドと大麻由来のカンナビノイドです。カンナビノイドとは大麻から抽出された化学物質のことを指します。また合成カンナビノイドとは、大麻由来のカンナビノイドに寄せたものです。

大麻由来のカンナビノイドからは、抗癌剤の副作用の吐き気や嘔吐を抑制するナビロンやドロナビノールなどの成分が、後者からは多発生効果症による痙縮などを抑えるナビキシモルス、てんかんに効果のあるカンナビジオールなどの成分が含まれています。

医療用大麻の持つ効果

このように大麻の成分は医療用医薬品として様々な効果を発揮しています。カンナビジオールを例にとると、レノックス・ガストー症候群やドラべ症候群という難治性のてんかん患者の発作頻度を減少させているという研究結果が出ているんです。そして、副作用も食欲不振、眠気や下痢など、既存の治療薬よりもひどいものではないといわれています。さらに、カンナビノイドにはPTSDやADHDなどによる不眠症や、統合失調症にも効果があるのです。

その他にも、カンナビノイドはパーキンソン病やその治療中に起こる運動機能の症状にも効果があるとされています。ただしこれに関しては、エビデンスレベルが高い臨床研究がほとんど行われていないという指摘もあります。

様々な効果がある医療用大麻

カンナビノイド以外の成分も、難病に対して素晴らしい効果をもたらすという研究結果が出ています。先ほども触れた、THCの合成薬であるドロナビノールを含んでいるMarinolとSyndrosや、同様にTHCの合成薬であるナビロンを含んでいるCesametは、抗癌剤の副作用の吐き気や嘔吐を抑えたり、神経の痛みを鎮めたり、HIV/ADIS患者の食欲不振の治療等に使われています。

まだまだこれからに期待すべき面も

医療用大麻には様々な効果があることがお分かりいただけたでしょうか。ただし、だからといってなんでも医療用として解禁していけばいいというわけではなく、まだ信頼できるほど研究や検証が進んでいない面もあります。

成分や病気によっては確たる効果の証明がなされていないものも少なくありません。ですが、今大麻に関する研究は物凄いスピードで進んでいるので、期待して見守りたいですね。

医療用大麻の今後を見守ろう

ここまで解説してきたように、医療用大麻にはいろいろな病に効くとして、実際に活用している国もあります。国連の麻薬委員会からも評価を得ており、今後医療用大麻が合法化していく流れは強くなっていくことでしょう。

日本ではまだ使うことができない医療用大麻ですが、病気に対する治療の選択肢が増えるのはメリットに違いありません。今後、日本での医療用大麻の扱いがどう変わっていくのか、しっかり見守っていきたいところですね。