大麻といえば、日本では「違法な薬物」というイメージが強い一方、海外では医療品や嗜好品として評価され、「グリーンラッシュ」と呼ばれるほどの経済効果をもたらしています。日本でも、大麻素材は古くから身近なものとして親しまれてきました。

そんな大麻の歴史や有用性、規制の現状についてきちんと知りたいという方向けに、今回の記事では、大麻について勉強できる書籍を7冊ご紹介していきます。世間ではあまり知られていない情報を得ることで、誤った偏見をなくすことができるかもしれません。

CBDのすべて

大麻先進国アメリカや欧州で大ブームを起こし、2025年までにアメリカで市場規模230億ドルに拡大することが予想されるCBD(カンナビジオール)。オイル、ドリンク、チョコレートからスキンケアまで幅広い分野で活用されるCBDとはどのようなものか。

実際の医療現場で患者に接してきた看護師が、自身の経験を踏まえ、医療大麻におけるCBDの歴史から、作用機序についての科学的な解説、製品の選び方、使い方まで包括的に解説する、CBD入門書です。

  • 著者:アイリーン・コニェツニー 、ローレン・ウィルソン 、三木直子 (翻訳)
  • 出版社:晶文社
  • 発売日:2019/12/17
  • 価格:¥2530

目次
第1章:何がそんなにすごいの?
第2章:大麻草の歴史
第3章:エンドカンナビノイド・システム
第4章:カンナビノイドとアントラージュ効果
第5章:カンナビジオール(CBD)って何?
第6章:CBDって安全なの?
第7章:CBDの原材料――大麻草とヘンプ
第8章:CBDと二七の疾患
第9章:あなたに合ったCBDの使い方
第10章:どれくらい摂ったらいいの?
第11章:信頼できる製品をみつけるには

カンナビノイドの科学: 大麻の医療・福祉・産業への利用

カンナビノイドとは、大麻草に含まれる104種類の生理活性物質のことで、海外ではすでに医薬品やハーブ(薬草)として使用されています。本書では、カンナビノイドを、植物学、薬理学、医科学、海外事例、法制度、教育、社会経済学などさまざまな観点から考察し、老人退行性疾患・難病・精神疾患治療への有効性を検討します。

また本書は、日本におけるカンナビノイドへの関心を高めることをめざして医療従事者を対象に発足した、日本臨床カンナビノイド学会(http://square.umin.ac.jp/cannabis)によって編集されました。

  • 著者:佐藤 均 (監修), 日本臨床カンナビノイド学会 (編集)
  • 出版社:築地書館
  • 発売日:2015/10/12
  • 価格:¥3300

目次
はじめに──カンナビノイドの利用は「患者の権利」である
第1章 カンナビノイドの基礎
第2章 アサに含まれる植物性カンナビノイド
第3章 アサは太古からの薬草
第4章 人体にあるエンド・カンナビノイド・システム
第5章 驚くべき適応疾患の多様性
第6章 カンナビノイド医薬品の研究開発
第7章 カンナビノイドの安全性と副作用
第8章 カンナビノイドの利用
第9章 カンナビノイドと法律の壁
第10章 カンナビノイドと薬物教育
第11章 カンナビノイドで健康長寿社会へ

マリファナ 世界の大麻最新事情 (ナショナル ジオグラフィック別冊)

太古の時代から、布の素材として、また薬として人類と深く関わってきた大麻。一方で現在では、人をハイにする効果から多くの国で禁じられており、その使用については賛否両論です。大麻の歴史、薬物としての作用、法的環境など様々な角度から、豊富なビジュアル付きで大麻の魅力に迫ります。

  • 著者:ナショナル ジオグラフィック  (編集)
  • 出版社:ムック
  • 発売日:2020/1/31
  • 価格:¥1540

目次

はじめに 大麻を知る
第1章:大麻の歴史
第2章:医薬品としての大麻
第3章:大麻の化学
第4章:大麻の栽培
第5章:変化する法的環境

真面目にマリファナの話をしよう

マリファナがアメリカで合法化にいたるまでの歴史と、現在の動向を綴ったノンフィクション。「グリーン・ラッシュ」と呼ばれるマリファナの巨大市場は、観光業や栽培学校まで幅広い分野に拡大し、市場規模4兆円にのぼります。

「結局マリファナはいいのか悪いのか?」「なぜ日本では禁止されているのか」が気になる方におすすめです。

  • 著者:佐久間 裕美子
  • 出版社:文藝春秋
  • 発売日:2019/8/8
  • 価格:¥1650

目次
第一章 マリファナ・ロードトリップ
第二章 なぜアメリカはマリファナを解禁するのか
第三章 もしも自分が患者だったら

お医者さんがする大麻とCBDの話

熊本大学の医学部を卒業し、医師として働いている筆者が、この本で、大麻が危険ではなく、役に立つものであるということ、大麻で逮捕するのは誰も幸せにしない、大麻取締法は改正が必要であるということを一貫して主張しています。

膨大な量の論文を中心に科学的知見を基にしつつ、語りかけるような易しい言葉でわかりやすく解説されているので、大麻についての入門書としても最適です。

  • 著者:正高佑志
  • 出版社:彩図社
  • 発売日:2021/5/27
  • 価格:¥1650

目次
第一章 大麻は本当に危険なのか?
第二章 禁止と合法化の歴史 世界の変化
第三章 内因性カンナビノイドの発見とCBD革命
第四章 医療大麻と疾患
第五章 CBDの適応と可能性
第六章 CBD使用の実際とよくある質問
第七章 医療制度と大麻
第八章 日本における取り組みと展望

日本人のための大麻の教科書 「古くて新しい農作物」の再発見

日本人は稲作をはじめるはるか昔、1万2000年前から大麻を生活に用いていました。大麻はお米よりも先に日本人の生活に根差していたのです。そんな大麻について、10の切り口から捉え直し、豊富な画像資料とともに、その本質を見ていきます。

コラムでは、弁護士、社会学者、理事長、精神科医など多数の著名人が寄稿されています。著者は、群馬県の一般社団法人である大麻博物館です。農作物としての大麻について情報を発信しつつ、各地で講演や「麻糸産み後継者養成講座」などのワークショップを開催しています。

  • 著者:大麻博物館
  • 出版社:イースト・プレス
  • 発売日:2021/5/16
  • 価格:¥1760

目次
第一章 名称
第二章 歴史
第三章 農
第四章 衣
第五章 宗教
第六章 文化
第七章 食
第八章 薬
第九章 模様
第十章 法

大麻 禁じられた歴史と医療への未来

大麻について必要な情報がこの一冊で得られる「大麻入門書」です。アメリカや日本における規制の歴史と現状、医療分野で期待される有用性などについて分かりやすくまとめられています。ただし2019年出版なので、情報がやや古い可能性があります。

  • 著者:長吉秀夫
  • 出版社:2019/4/15
  • 発売日:株式会社コスミック出版
  • 価格:¥803

目次
第1章 劇的に変わってゆく世界
第2章 医療大麻で命を救え
第3章 カウンター・カルチャーとしての嗜好大麻と禁止の歴史
第4章 21世紀の産業大麻
第5章 日本の中の大麻文化
第6章 日本の大麻取締法

大麻への偏見をなくそう

以上、大麻について勉強できる書籍を7冊、紹介していきました。日本で一般的に持たれているイメージと、世界の常識とでずれがあることが分かると思います。

しかし重要なのは、情報は常に更新されていくということです。科学的見解も、制度的動向も、いつでもガラッと変わる可能性があるので、一度取り入れた知識で固定してしまわないように気をつけましょう。