最近、CBD製品として身近に販売されたり、欧米諸国でも解禁されたりしている大麻。さまざまな効果があるので、興味を持っている方も多いことでしょう。

日本ではCBD製品は販売されはじめましたが、いまだにドラッグとしての大麻は違法薬物として取り締まられています。今回は大麻が違法薬物として取り締まられている理由について調査しました。

大麻とは?

違法ドラッグとしての側面が有名な大麻ですが、日本において、大麻という植物は1万年以上も前から農作物として人々の生活に利用されてきました。つい70年ほど前まで繊維で縄や布を作り、茎は屋根の材料にしたり、種子は食用として、葉は薬にしたりと、生活においてあらゆる面で活躍していた植物だったのです。

生活に根ざしていた大麻ですが、日本において違法ドラッグとして禁止されるようになった背景には敗戦後に日本を占領したGHQ(連合国軍総司令部)の存在があります。日本ではドラッグとしての利用はあまり馴染みはなかったのですが、1947年にGHQが大麻取締法を公布し、大麻を麻薬として指定したのです。

日本が主権を回復した1952年のサンフランシスコ講和条約の発効以降、占領下の法制が見直されていく中で、大麻取締法も廃止が検討されたのですが、それが決定されることはありませんでした。

1961年代に国連で「麻薬に関する単一条約」が採決され、その中で大麻も指定されたことで世界的に大麻を規制する流れが強くなったことにより、日本も大麻取締法を廃止できなくなります。

同時に1960年代はアメリカなどでベトナム戦争に反対する運動などをきっかけにヒッピー文化などが盛り上がったことで大麻をドラッグとして喫煙することが流行。それを受けて日本でも大麻を「麻薬」目的で喫煙する習慣が流行りはじめ、現在も違法ドラッグとしての大麻は法律で取り締まられています。

違法な大麻製品と合法な大麻製品の違い

麻薬としての大麻は取り締まられているのに、なぜCBD製品などは身近に販売されているのでしょうか。その違いは成分にあります。

大麻の成分はCBDとTHCにわかれます。CBD(カンナビジオール)はその名の通りCBD製品などに使用されているもので、この成分を抽出して作られた製品は日本でも合法的に使える大麻の成分です。

一方でTHCはCBDと違って、精神を劇的に活性化させるような効果があります。いわゆる「ハイ」になる危険ドラッグの効果です。日本ではこの麻薬的な効果をもたらすTHCの成分を含んだ大麻の製品が違法になっています。

日本においてTHCを含んだ大麻の売買が取り締まられている大きな理由は、身体への悪影響です。厚生労働省によると、大麻は脳に作用して、色々な問題を引き起こします。大麻を過剰に用いると記憶力や学習能力が下がり、知覚まで変化してしまい、社会生活に適応できなくなることもあるのです。

世界的に大麻が解禁されてきている理由

日本では違法ドラッグとして取り締まられている大麻ですが、オランダやカナダ、アメリカのワシントンやカリフォルリア州をはじめとした一部の州では娯楽用の大麻を所持したり、使用したりすることが合法化される流れが強くなっていますよ。海外で大麻が解禁されているのには色々な理由があります。

一つには規制が不可能なほどに娯楽用の大麻が使用されている点です。アメリカではすでに大麻が浸透しており、多くの人が娯楽用の大麻を吸ったことがあるという現状追認っが理由として挙げられます。

また白人が大麻を吸った場合は逮捕されないのに、黒人が大麻を吸うと逮捕されてしまうというような人種差別に根ざした大麻の問題もあります。そういった差別を是正するために大麻を違反とするのはやめようという流れが生まれました。また、大麻を吸った人に罰を与えるよりも、治療をさせた方がいいという考えもあります。

現在の日本では大麻は違法ドラッグ

日本ではTHCなどハイになる成分を含んだ大麻の製品は禁止されていますが、CBDなど危険ではない成分を含んだ製品は販売されていて、使用することも認められています。世界的には解禁されつつある大麻ですが、それぞれの国における色々な社会事情が重なって使用が認められているところもあるので、日本で現在違法ドラッグとされている大麻が全面的に解禁されるのはまだまだ先のことでしょう。

生活に様々な恩恵を与えてくれる大麻ですが、使い方を誤ると身体に悪影響がありますし、社会的にも刑罰を受けることになってしまうので、気をつけてくださいね。