需要の増加に伴い、CBD製品の種類はどんどん増え、その摂取方法は多様になってきました。今回の記事では、CBD製品を摂取する5つの方法(吸入、経口、舌下、局所、経皮)の違いによって、効き目の表れ方がどのように異なるのかについて解説し、用法ごとの適切な摂取方法を考えていきます。

摂取方法の比較

CBD成分を摂取するには様々な方法がありますが、具体的に見ていく前に、それらがまずどのような基準で比較されるかを見ていきましょう。

効果発現時間
カンナビノイドを摂取してから効き目が現れるまでにどれくらいの時間がかかるか。即座に効果を感じたい方は、それに適した方法を採ることになります。

用量
方法ごとに適切な用量が決まっており、個人の慣れ具合によっても異なります。

効果持続時間
効き目がどれくらいの時間、持続するか。基本的に、発現時間が短いほど持続時間も短く、発現時間が長いほど持続時間も長くなります。

体内での分布
身体のどの部分に作用するか。全身をリラックスさせたいのか、それとも特定の個所の症状を緩和させたいのかによって、適切な摂取方法は異なります。

バイオアベイラビリティ
服用した薬物が血液による全身循環に達する割合。どれだけ摂取効率がいいかという基準です。

吸入(ベーピング)摂取

CBD(カンナビノイド)を吸入するやり方にはいくつかの方法があります。

まず、ベーピングは喫煙と比べると、効果発言までの時間はやや長く、その代わり吸収率は高いという特徴があります。また、カンナビノイドの一種であるテトラヒドロカンナビリン(THCV)は気化しずらいため、吸入するには喫煙するしかありません。しかし、喫煙は燃焼した物質の煙を吸い込むことになるため、タバコでなくても肺に有害となるリスクがあります。

また、吸入方法では乾燥大麻だけでなくオイル製品からでも抽出が可能ですが、製品に含まれる希釈罪などの添加物が品質の悪いベポライザーで燃焼した際に発がん性物質になるリスクが指摘されています。

喫煙摂取

電子タバコやアークペン、気化器などの器具を使用し、煙や水蒸気によってカンナビノイドを摂取するやり方です。一般的な用量は0.3〜1.0グラム。摂取した成分の最大56%が血液中に到達するため、バイオアベイラビリティが高く、最も効果的な方法として知られます。

肺の透過性によってCBDの成分が血液に直接取り込まれ、肝臓の代謝を経由しないため、即効性があります。まず肺、それから心臓、脳、身体全体と、素早く循環し、分布します。

摂取してからわずか数分で効果が表れ、30分ほどでピークを迎えるため、急性の症状をすぐに緩和させたいという方におすすめです。また、即座に効果が表れるため、自分に適切な用量を調節しやすいという利点もあります。

その反面、効果の持続時間は極めて短く、摂取から2~3時間で効果はなくなるため、長時間の効果は期待できません。また、煙が出るため、ベイプが禁止されている場所や人込みでの摂取は控えましょう。

経口摂取

経口摂取は、エディブルや、カプセルなどの形でCBDを含んだものを口から摂取する方法です。用量は、最小で3ミリグラム、含有量が多い製品であれば5ミリグラム~数百ミリグラムと幅が広いです。普通の医薬品と同じように飲み込めばいいだけなので、お手軽にCBDを摂取できます。

しかし、CBDオイルやCBDカプセルを飲み込んだ後、消化管や肝臓を通るときに消化や解毒分解などが起こるため、実際に吸収されるCBD量が少ないというデメリットもあります。

効果の発現時間までには長い時間がかかります。空腹時で約1時間、食事に合わせて摂取した場合は2~3時間です。これは、経口摂取されたものは、まず胃で消化・分解され、次に肝臓で代謝され、それから小腸・大腸の消化管で吸収された後に体に広がるためです。

そのため、なるべく早く効き目を感じたいという方にはおすすめできません。また、消化や解毒分解を経ているため、バイオアベイラビリティが低く(吸収されるCBD量が少ない)、製品や個人の消化器官の働きによりますが6~15%と言われています。

その代わり持続時間は長く、精神活性作用は約6時間、それ以外の作用は最大12時間持続するので、様々な慢性疾患に適しています。また、腸を経由する際に腸の受容体に作用をほどこすため、大腸炎などの疾患に対して顕著な効果があります。

ただし、成分が長時間体内に残り、作用し続けるため、摂取後少なくとも3時間経過するまで追加摂取してはいけません。また、肝臓でTHCやCBDなど複数の酵素によって分解され、より強い作用の持つ成分に変換されるため、初心者の方はあらかじめ慣れておくことが必要です。

舌下投与

舌の下や口腔内の粘膜からCBDを摂取する方法です。用量は、初心者の場合3ミリグラム。CBD含有量が多い製品の場合は5ミリグラムから数百ミリグラムと幅広いです。舌の下にCBDオイルを垂らし、すぐに飲み込まず、90秒から2分程度維持します。そうすることで、舌の裏側にある太い血管から直接吸収され、胃や肝臓で消化・分解されずに直接血中に送り込むことができます。

これにより、バイオアベイラビリティが高くなる(CBD摂取量の最大35%が血液中に到達する)こと、そして効果発現時間も15分~1時間と比較的短く、効果持続時間も4~6時間と比較的長時間になることが主なメリットです。

デメリットは、慣れるまでの摂取の難しさです。口腔粘膜用ティンクチャーには、舌下にすプレーするものと、目盛りで測るものの二種類があります。ラベルに、1m当たりに含まれるカンビナイド量が表記されているので、それを参考にして一定した用量を量り、摂取します。その際、舌下に滴下したものを飲み込んでしまわないように注意しましょう。飲み込んでしまうと、経口摂取と同じように、胃や肝臓、大腸の働きによって消化・吸収することになるため、感じられる効果が少なかったり、現れなかったりします。

効果が現れないからといってもう一度滴下してしまうと、適切量を越えて、陶酔作用や副作用を引き起こす恐れがありますし、高用量のCBDの場合、意図しない薬物相互作用が起こる可能性があります。また、正しい位置に滴下できているのか自分で分かりにくいため、慣れるまでは鏡などを使って練習しましょう。

局所摂取

ローション、クリーム、軟膏、オイルといった形状のCBD成分を、身体の局所的な一部分の皮膚に直接つける摂取方法です。塗布された量の最大50%もの成分が吸収され、局所的な痛みの緩和に素早く効き目が現れます(摂取後約25分)。

使い方も塗るだけと簡単にすむため、皮膚や関節の疾患の症状を緩和させるための塗り薬として、カンナビス製品の中でも一般的な部類に入ります。

CBD成分は皮膚上の受容体と融合して吸収され、血中に取り込まれることがないため、全身に効果が現れることはありません。あくまで局所的な症状の緩和が目的で取られる方法ですので、身体のリラックスや慢性的な症状の緩和を望む場合は、全身に作用する経口摂取、舌下摂取、吸引などの方法を選択しましょう。

経皮摂取

CBD製品には、ジェルやパッチ状をしていて、皮膚に貼るものもあります。これは塗るタイプの局所薬とは異なり、CBD成分が皮膚を通過して、血中に送り込まれていくタイプです。

手首や足首など、静脈が集中した部分に張ることで高いバイオアベイラビリティを発揮します。皮膚から剥がせばすぐに効果が消えることから、用量の調節も容易です。

試行錯誤して適切な方法を

以上、カンナビノイドを摂取する5つの方法(吸入、経口、舌下、局所、経皮)について見ていきました。それぞれにメリット・デメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。

また、個人の体質によって、カンナビノイドの吸収のされ方は違うので、いろんな方法を少しづつ試しつつ、自分に合ったやり方を見つけていくことをおすすめします。