薬や食品の飲み合わせによって、薬の作用や代謝に影響が及んでしまうことを「相互作用」といいます。CBD(カンナビジオール)は大麻草の樹脂にできる天然の化合物で、日本でも認められた安全な合法成分です。しかし、他の薬を併用している方は、その効果に影響がないか不安に感じる方もいらっしゃると思います。そこで今回の記事では、CBDやCBDオイルを他の薬と飲み合わせする際の注意点について解説していきます。
薬との併用はできる?
結論から言えば、CBDは多くの薬の代謝・作用に影響を及ぼす可能性があります。それも、CBDが相互作用を起こしうる薬品には多くの種類があるため、自分が併用している薬品がそれにあたるのか素人判断するのは危険です。
そのため、CBDを他の薬と併用する場合、必ずかかりつけの医師に相談してください。間違っても自己判断で服用をやめたりしてはいけません。
どうして注意が必要?
ここでは、CBDが他の薬の作用に影響を及ぼす仕組みについてご説明しましょう。
医薬品の成分を代謝する際に必要となる酵素の一つに、肝臓が作るシトクロムP450(CYP450)というものがあります。CBDやCBDオイルをある程度の量摂取すると、このCYP450の一種であるCYP3A4の働きが阻害されます。
すると、CYP3A4が小腸上皮で代謝するはずの薬の成分が代謝しきれず、腸管から血管内に吸収される薬の成分が多くなるのです。これにより血中濃度の上昇や作用時間の延長、想定以上の効果が出てるおそれがあります。
つまり、CBDと一緒に服用されることで、その薬が解毒されないまま体内にとどまり、体に悪影響が及ぶ可能性があるのです。
CYP3A4がその代謝に関わる医薬品は、全体の約60%とも言われ、代表的なものだけでも抗がん剤や降圧薬、抗ヒスタミン薬、抗生物質、ステロイド、向精神薬、鎮痛剤・麻酔薬、高脂血症薬、免疫抑制薬、抗不整脈薬など多数存在します。
これらの薬品の代謝をCYP3A4が全て担っているわけではありませんが、CBDがCYP3A4を阻害することによって、こうした薬品の効果が長続きしてしまったり強く出てしまうなど、本来あってはならない相互作用を引き起こす可能性があることは間違いありません。薬の種類によっては、その作用に影響が生じてしまうことが生命の危機に及ぶ可能性もあります。
したがって、持病を抱えたりして常用している医薬品があり、CBDの服用を考えている方は、必ず医師に相談するようにしましょう。
グレープフルーツも注意が必要?
実は身の回りの食品の中にも、併用薬の効果に影響を及ぼしてしまうものがあります。それは、グレープフルーツです。グレープフルーツに含まれるフラノクマリンという成分が、CBDと同様にCYP3A4を阻害し、肝臓での解毒作用を妨げてしまうためです。
これはグレープフルーツの他にオレンジやザボンなどの柑橘類にも含まれていますが、特に注意を促されるのがグレープフルーツです。ある医薬品は、その注意書きでグレープフルーツやグレープフルーツジュースとの併用をはっきりと制限しています。
つまり、薬と一緒に口にすると危険なものは、なにもCBDだけではないということですね。
CBDオイルは正しく利用しよう
CBDやCBDオイルを薬と併用して摂取する場合、例えば少量から試し、処方薬の内服から二時間程度の間隔を置いて服用するなど、量とタイミングを工夫することでリスクを減らすことができます。その際、処方している医薬品の用法を守ることを最優先し、それを基準にしてCBDを服用するタイミングを考えていきましょう。
CBDは、大麻から抽出される成分でありながら、その安全性はWHO(世界保健機関)が「乱用や害を及ぼさない」という見解を示すほど確かなものです。とはいえ、副作用やアレルギー反応を起こす場合があったり、今回の記事で確認したように、併用薬と相互反応を起こす可能性があるため、用法・容量には細心の注意を払う必要があります。正しく利用して、CBDを適切に楽しみましょう。